てすつ

見られてはいけない。見られてしまったら意識の何割かのリソースをあれに割かざるをえないなんて。
見てはいけない。見てしまったら無意識の中で、主に夢の中にその人たちが現われて、目が醒めるまで世界を提供してあげないといけない。
君は、私は、どこで遭遇したのだろう。


私は気が付くと、良くも知らない六畳くらいのリビングにたたずんでいた。
壁に隣接する木のテーブルの奥には柵つきの小窓。そこから見えるのはある程度整備された雑木林。木の影から毛むくじゃらの黒っぽい大きなものがこちらを見ていた。私は見た。毛むくじゃらも。
私は気が付くと、二三頭のクマに強襲されていた。血の気が一度にサーッと引く音が誇張でなく聞こえる。逃げなくては。背中の冷や汗と耳をつんざかんばかりの心臓の鼓動。あの、あそこの家の中へ逃げ込まなくては。腰が抜けそうな恐怖、足には何十人の人間をも引っ張るような重みが、10メートルもみたない脱出路の距離を遠ざける。クマ。
ある毛むくじゃらは小窓の柵をひしゃげる。またある毛むくじゃらは大窓のガラスを突き破らんばかりに体当たりする。それまたある毛むくじゃらは悲しげに遠くからこちらを見ていた。
誰かが私を呼んでいる。聞こえない、もしかしたら。
あれは呼んでいるんだよ、あれが。聴こえないふりをして、そうやってクマが増えていく。
お呼びだ。


という、いつだか見た夢のお話。メタっぽい表現すると分かりにくいし、あまり面白くないですね。しょせんメモ程度なのでご愛嬌。