森の用水路のカワニナ1

待ちに待った夏休みまで一ヶ月を切って、ユキはある準備をちゃくちゃくと進めていた。
今年の夏休み前に自分の家族と近所の友達の佐々木一家で、塩原へ一泊二日のキャンプをしに行く予定が決まったのだ。
夏休み前の予行練習だ、といわんばかりに父親のリョーイチはユキにその事実を伝えていた。
キャンプ好きのリョーイチのことだから、今年の夏休みも家族を巻き込んで三回くらい野外キャンプをするんだろうな。
ただいままでに一度も予行練習なんてことはしなかった。ニヤニヤしながらリョーイチが「イイモンみせてやる」とだけ言って、その詳細を教えてくれない。
ヒント! ヒント! としつこくせまったり、大切な財布を隠してやったら「びっくりさせたいんだから答えは教えてやれないけど、遠いヒントだけは教えてやる。それはユキの通学路の途中にあるあの用水路がヒントだ」
まったくわけがわからないので、こんどの土曜日学校が終わったらその用水路に友達をさそって探ることに決めた。