深い狭間

期待。おおきな期待。喜び。
楽しげは闇のベールをひるがえすこと。
街中でベールを羽織い、意気揚々とステップを踏みながら歩く。
家でもベールを羽織いながら破れたマントを繕う。
いくらきれいに繕っても痕は残ってしまう。
ある日街中で、ひとりの小さなこどもが話しかけた。
穴からみえるものはなに?
興味。おおきな興味。恐怖。


あれから、ひどく疲れていても毎日マントの修繕を怠らない。
鋭い視線を避けながらも、いつものように街中で躍り舞った。
月の光にとけたいと思った。夜は終わらなかった。


ぼろぼろになった私は初めてマントの修繕を行わなかった。
太陽はベールを指差し、マントを砂のように分解した。
もうやらなくていいんだ。
黒く変色した私は砂の影と消えた。