喋るより文字で意思疎通をしたほうが早い――はにかみながら笑顔をみせて鷹翠さん(年齢詐称)は話す。
「昔からそうなんですが人前で話すのが苦手なんですよね。特に発表などは、のぼせちゃってまったく発表になりませんでした」
――おまじないがありますよね。人という文字を書いて飲み込んだり。
「あーやりましたよ。でもぜんぜん意味がなくて、ウソツキ! と心の中で叫びました(笑)」
――他にも色々おまじないがありますが、効果があったのはありますか?
「深呼吸もダメ、リラックスのツボを刺激してもダメ。ようは落ち着けばいいのですが、無理ですね。一度緊張しちゃうと発表がおわるまでドキドキの状態です」
――心療内科いって薬もらってくればいいんでない
「病院は基本的に嫌いなので……」
――なんか口で喋るのおっくうなんだってね? テレパシーで言葉は通じないよ?
「そ、そんなことありませんよ! ただ馴れた人とじゃないと普通に喋れませんけど」
――つーか文字の意思疎通のほうが早いとあるけど、そこんとこどうよ
「これはリアルタイムでないことを意味しますね。チャットはダメです。メールならOKということです」
――そういうことじゃなくてなんで文字のほうが口で喋るよりいいのかって聴いてるの!
「ごめんなさい……。それで何故かと言うと、リアルタイム面と面の会話って反応がすぐ返ってくるじゃないですか。逆に反応がなくなったときの不安が怖くて。でも文字ならば内容は考慮されてまとまってますね。客観視もしやすくて冷静に対応がとれますし。」
――でもねぇ寂しいでしょそんなの。
「そんなことありません」
――人が嫌いだといったり、喋りたくもないという人間こそ、誰よりも人と意思疎通をしたいんじゃないかな。
「矛盾してるじゃないですか」
――その矛盾こそ自分が素直になれない表れだよ。心のどこかで叫んでるんじゃないかな?『なぜ自分だけ』と。
「……(しばらく沈黙)」


直撃取材その2へ続くかも。